「封筒の宛名書きをおねがいしたいのですが」
もっきん堂から少し離れた、会社の奥様がお見えになった。
子供が小学生のころは、入学式や卒業式などで顔を見かけ
挨拶程度はしていたが、あちらさまは男の子、我が家は
女の子なので、懇意にして頂くことはなかった。
その奥様が何十年ぶりかで、お見えになった。
「○○さんですね。」
昔からおとなしくて綺麗な方だったが、少しだけお年を
召されたと思う程度で、美貌は衰えていない。
「今度主人と息子と、社長交代しますので、何かにつけ大変です。」
「まあー、それはおめでとうございます。でも大変ですね。」
「ありがとうございます。」
「息子さんは御幾つになられたんですか?。」
「もう、40歳になりました。」
「まあー。そうですか。」
あの頃、まだ小学生だった男の子が、りっぱになられて
会社を継承し社長になられるんだ。
『光陰 矢の如し』とはよくいったもの。
「主人はまだ、譲りたくなかったんですが。」
「そうでしょうね。まだ、ご主人はお若いですものね。」
時の流れというのは、否応なしに、前、前と事を進めていく。
若社長さん、身体にきをつけて、頑張ってください。
そしてもっと、もっと繁栄させてくださいね。
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